茨城県土浦市に暮らす齋藤あや子さんは着付けや美容師として30年以上、長い間着物や和文化と関わってきました。手仕事が得意な家系で、父・高夫 さんは退職後から狂言・能面づくりに携わり地域の教室で指導するほどの腕前でした。
齋藤さんは長い間染織に興味があり、2017年に土浦市立博物館で開催された「はたごしらえ講座」へ参加しました。地域のおばあちゃん達が使っていた機を集め、地方の農家の伝統的な手織りの技法を2年近くに渡って先輩達から学びました。
その後、どのように染織と関わっていこうかを模索し、京都芸術大学の染織コースに入学しました。
齋藤さんは、思ってっていた以上に機が大きくて場所を取るため、広くて明るい2階に織り機を設置しました。しかし近年、夏の暑さが厳しいので今後は置き場の検討が必要だと考えているそうです。
手仕事部屋には手紡ぎ道具や素材の他にも仕事で使用している着付けの道具や父・高夫さんの狂言能面作品も並んでいます。
京都芸術大学在学中は入学前に想像していた以上に課題制作や勉強に苦労しましたが、卒業生の先輩や同級生たちに相談したりアドバイスをもらったりしながら2023年3月に卒業しました。
卒業制作の作品、絹糸を葡萄染めし、平織り、組織織り(トンボ織り)した着尺と帯は同窓会賞を受賞しました。
齋藤さんの義弟・高橋学さんはつくば市で「Tsukuba Vineyard(つくばヴィンヤード)」を経営しワイン造りをしています。
「Tsukuba Vineyard」はSDGs活動にも積極的に取り組んでいて、齋藤さんは高橋さんのワイナリーの葡萄の搾りかすを使い、絹や綿を葡萄染めして作品を制作しています。
齋藤さんは「はたごしらえ講座」に通うのと同時期に栽綿の栽培を始めました。
現在は畑でほんの少し野菜を作り、綿や蓼藍を育てたり、周辺の山を歩いて染められる植物を見つけたりもしています。
草木染めの持つなんとも言われぬ色に魅かれ、葡萄染めが思いっきり出来るというラッキーな立場を生かし 葡萄をメインに自然から手に入る染料を使って様々な染めを試行錯誤しています。
京都芸術大学に通ったことで、全国の染織仲間の存在を知りそのことがとても刺激になりました。
齋藤さんは今後も様々な染織に挑戦しながら、楽しんで作品を制作して行きたいとのことです。
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齋藤あや子さんの参加する作品展
緯・経の会展
2024年4/21~4/27 東京都・新橋 交通会館で開催
【取材・撮影】 遠藤ちえ (遠藤写真事務所) @chie3endo