常盤木(ときわぎ)邦子さんが染織と出会ったのは22歳の頃。
書店で「染色と生活」(染色と生活社)を手にしたことから始まりました。
偶然出会ったその雑誌を読んだ時から「これをやってみたい」という思いに突き動かされ、「ニチメン織物教室」に入会。その後「奥さま西陣大学」、「アトリエ長谷川」「せいわ染織教室」などでアシスタント、講師として経験を積みました。
その頃は文学への興味を深め、國學院大学の日本文学科へ通い、子供の頃から続けていた書道の勉強にも力を注ぎ、欲張りな20代でした。
その後、結婚、出産を経て子育て中心の生活となった時期を過ごしましたが、子育て中も生活のかたわらには織りがある生活でした。お子さんが織り機の下で遊んでいたりすることも。その頃はマフラーやテーブルセンターを織っていました。
現在は書道教室を運営し多数の生徒さんを指導しながら、ふたたび染織家として創作活動に打ち込む日々です。
常盤木さんの手仕事場はご自宅の1階の一室にあります。
元々はお風呂場だったところを染め場として使用していましたが、リフォームして現在は織りのアトリエとして使っています。
現在は織り幅52cmの東京手織機 KSP-520を使用しています。常盤木さんの表現方法に合う、扱いやすい織り機です。
調布市で開催されている市民文化祭へ織りの作品を数回出展したところ、調布市工芸美術協会へ誘われて入会。
会員として春は「調布市工芸美術協会展」、秋には「調布市文化祭工芸美術展」と年2回出展を続けています。
その中で自分の新しい表現を追求するようになり、だんだんと大きいサイズの作品を制作するようになりました。
近年は自然の一部をモチーフにしたオリジナル作品をシリーズで制作しています。
2018年、2019年、(2020年はコロナ禍で中止)、2021年、2022年に「日本現代美術工芸展」に入選。
現在は当協会の「会友」。
そして2022年に「日展」初入選。
2022年7月には表参道の「神宮前ギャラリー」で70歳にして初個展、常盤木邦子 「織の世界」展を開催。
常盤木さんは、今までの中で今が一番制作意欲が湧いているとおっしゃいます。
手を動かして制作している時、どんどん創りたいイメージが浮かんできて、次々と作品を創りたくなっています。
この手仕事場から、たくさんの新しい作品が創り出されていきます。
◉常盤木邦子さん
Instagram ID @kunikotokiwagi
【取材・撮影】 遠藤ちえ (遠藤写真事務所) @chie3endo