Futabaさんの手仕事場は武蔵野市の閑静な住宅街にあるレトロな佇まいのアパートの一室。静かで手仕事に集中できる環境です。
長い繊維を繋げる事を「績む(うむ)」と言います。
この手仕事場は、日本古来の素材である おお麻に紡錘車で撚り(より)をかけて糸にする績むための場所。Futabaさんは自宅と別に手仕事場を構えています。
おお麻を績む作業は古来より御神事に関わる神聖な手仕事。
先人にならい、手仕事場をしめ縄で囲い生活空間とおお麻を績む空間をきちんと区切っています。
Futabaさんのお仕事はアニメーター。忙しい日々を送っていた2011年、東日本大震災が起こりました。
仲間とイラスト集を発行、販売して必要な人へ支援金として送ったりするなかで、ご自身が携わっているアニメなどの娯楽で命に関わることを直接支えることは出来ないのではないかと迷う日々でした。
なにか衣食住に関わることがしたいと思い、たまたま目にとまったおお麻の糸を紡ぐ昔ながらの手わざを受け継ぐ講座を受講し、職人認定されました。
その後、手わざを伝授する講座の講師を務めながら、ワークショップでおお麻糸の認知を広める活動を経て独立し、[糸守りの里]として活動を開始。
おお麻を績むなかで、ご縁があって御神楽に使う衣装の補修に携わったり、伝統的な御神事に使う反物を織るために必要なおお麻の糸を績む機会に恵まれたりしました。
現在[糸守りの里]の活動は、おお麻を紡いで糸にするだけでなく、糸を績み、糸から布を制作し奉納布を制作することを目標としています。
おお麻を績むのは、手間がかかり、長い時間がかかる作業です。賃金が発生する仕事にはなりづらいので、参加する人がどう楽しみながら続けていけるかに焦点を合わせて活動しています。
少しずつおお麻を績み、布を作る。その輪がFutabaさんの手仕事場を中心に広がってきています。
◉ワークショップ
おお麻の糸作り体験、背守りワークショップ。
詳細はももとせ市Instagramからご確認ください。
ももとせ市 https://www.instagram.com/momotose_ichi/
[糸守りの里] Twitter @Datu_eba
お問い合わせ: TwitterのDMから
アメーバブログ
※筆者注)
日本は古来より植物から採れる繊維を衣類に使用していた歴史的背景があります。
近年、嗜好品として非合法に麻薬として使われる大麻・マリファナは葉の部分を使用するものです。
この記事では茎の皮「精麻」のみを使用して績み、撚りをかけて糸として使用するものをおお麻(おおあさ)と呼んで大麻・マリファナとは区別しています。
精麻は古来より御神事で使用され、布は制作の難しさと希少性から現在も大切にされている植物繊維です。
【取材・撮影】 遠藤ちえ (遠藤写真事務所) @chie3endo